11/18 ルクラ-プヤン(2780m)  :徒歩5時間
 朝から空港は慌ただしい動きを始めた。このところの天候不順でカトマンズのフライトのキャンセルが続いて多くのトレッカーがルクラで足止めをされていた(1000人とも1500人とも言われていた)。今日はフライトOKでカトマンズに戻る仲間を見送り、9時頃空港の滑走路に沿った細い道を下り始めた。30分程下って、鉄橋を渡ると登りにかかる。スルケを越してパケパニで昼飯、今日から昼、夕ともダルバート(ネパール定食)を食べる。出発が遅かったので予定を変更してプヤンでロッジに入る。メラピークに向かうマレーシアのグループと同宿となる。
 
 11/19 プヤン-ジュビン(1676m) :徒歩6時間
 ロッジを出てすぐに小沢を渡り、樹林帯を緩やかに登っていく。苔むした古木の彼方に遠くチョウオーユー、ガチュンカンが見える。中景にはコンデ、クーンビラ。山並みが幾重にも重なっている。ブプサの展望の良いロッジでダルバート(300rs)。三姉妹だろうか若い娘たちが食事の準備を始める。出来あがるには1時間はかかる。暖かいので頭を洗ってさっぱりとする。
 午後1時間程歩いてカリコーラ、商店が並ぶバザール。ロッジもあるが更に下る。ジュピンで小さなロッジを宿にする。
 
 11/20 ジュビン-タクシンド・ラ(3071m)-リンモ(2720m) :徒歩7時間
 ロッジから更に20分下って吊り橋でドゥートコシ(ルクラからナムチェの道に沿って流れる川の下流)を渡る。ここから1500m近く登りタクシンドラを越えて600m下ってリンモまでのハードなコースだ。ヌンタラのバザールにはポリスボックスがあり、警官が日向ぼっこをしていた。ポーターが先行してダルバートを用意してくれるロッジを捜したが、村はずれまで行ってしまう。民家を借りてポーター達がダルバートをつくった。午後2時間登って峠に出た。マニがあり、その向こうにヒマラヤの山々が見える。峠から広い道がリンモに下る。途中タクシンド・ゴンバの古い大きなチョルテンが目立っている。
 
 11/21 リンモ-ジュンベシ(2675m) :徒歩5時間
 広い草原を下って川を渡り、緩やかな山道を登っていく。振り返ればリンモの村が朝日を浴びて草原と森林と白い屋並みが美しい。2時間程でプルカン(3040m)に着く。エベレストビューロッジの看板を掲げたバッティーがある。晴れていればエベレストが見えるらしい。この日はメラピークだけが雲の合間に顔を出していた。みかん1個25rs。.南の下方にはパプルの飛行場の滑走路が見える。ピケピークからパプルまで1日で下れるので翌日カトマンズに戻ることもできる。等高線に沿って山腹道を1時間半程歩きジュンベシコーラを渡るとジュンベシの村に入る。日本に住む友人のザンムー・シェルパの生まれ育ったところで、叔母さんのアンチョティさんのロッジをさがす。自家製のシャウロキシー(りんごのお酒)で歓待をうけた。ジュンベシは月の下にある村を意味するらしい。美しい村だ。
 
 11/22 ジュンベシ-ラムジュン・ラ(3530m)-ラムジュン(3736m) :徒歩5時間
 ロッジのすぐ裏がジリに続く街道だった。高みに立つとジュンベシ全体が俯瞰できる。その向こうにヌンブール(6958m)の白い峰が朝日を受けて輝いていた。尾根を回り込みジュンベシが見えなくなると、西方はるか遠くにラムジュン・ラ(3530m)の峠が見える。800mの登りだ。トクトの村がまっすぐに延びている。民家がポツンポツンと道路際に立っている。やがてシャクナゲの樹林帯に入る。一軒の民家でダルバートを食べる。小さな子供がいたので風船をあげて遊んだ。お祖母ちゃんが隣でオンマニペメフンとマニを唱えながら数珠を回していた。樹林帯が途切れるとラムジュン・ラが目の前にあった。飛行機がすぐ近くの頭上を飛んだ。峠を越えるとラムジュンは近い。
 
 11/23 ラムジュン-パブ・リ(3841m)-バンジャン(3520m) :徒歩3時間
 霜柱がサクサクと音をたてた。シャクナゲの林の中に雪が残っていた。目の前には目指すピケピークがドンと構えている。背後にはヌンブールが大きくなる。更に登るにつれてヒマラヤの山々が左右に広がっていく。足元を気にしながらも数分おきに後ろを振り返ることになる。タムセルク、カンテガ、クスムカングル、メラピークが見え始め、しばらくするとその西にローツェ、次にエベレストが現れ、更に高度をを上げるとマカルー・・・東にはカンチェンジュンガ、北にはクーンブ、ロールワリン、西にはランタン、マナスル、アンナプルナが連なって天空に浮かんでいる。パブ・リを下り鞍部にあるバンジャンの小屋に入る。広い土間の部屋にシュラフをひろげる板をひいて寝た。
 
 11/24 バンジャン-ピケピークT(4068m)-ナールゴンバ(3350m) :徒歩4時間
 昨夜は満天の星空だった。良い天気が続いている。目標だったピケピークに向かう。シャクナゲの林を抜けて大きな岩を回り込むと突然ピケピークTが目の前にあった。チョルテンがあり、ルンダが風に吹かれていた。ネパール中の山が見えるのではないかと思われる程の大パノラマが広がっている。穏やかな草原の山頂とどこまでも続く山並み、澄んだ空気、一日中ここに居たい思いにかられる。地元の女性(母娘だろうか)が反対側から登ってきて腰をおろす。時がゆっくり流れている。
 鞍部に降りて、登り返す。ピケピークUは3m低い4065m。これから稜線を下っていく。草原を過ぎて樹林帯に入る。ナールゴンバにはゴンバ(お寺)と民家の2軒。民家を借りてここでボツ。近くにチーズ工場があった。
 
 11/25 ナールゴンバ-タラコーラ(1500mくらい) :徒歩6時間
 モミとシャクナゲの樹林帯に入り、急勾配の道を下って行く。長い時間変わらない風景があった。原生林とヒマラヤの峰々の空間に吸い込まれるように歩いていた。樹林帯を抜けると広々とした田園風景が目に入った。ゴリゴンバの村だ。農作業をしていた家のキッチンを借りて昼食のダルバートをつくる。またまた急坂を下る。予定していたナムキリには宿泊出来るようなような家がなくて、さらに下るしかなかった。結局旧街道との合流点までおりて、リクコーラを渡り少し上がったタラコーラで泊ることになった。
 
 11/26 タラコーラ-ディオラリ(2705m) :徒歩4時間30分
 谷間の村から尾根に取り付く。ジリからの自動車道の工事が山肌を削り、延びて来ている。ショートカットして歩く。屋根のついた橋を渡るとバンダラ。街中を広い道路が通り、オートバイが何台も置いてある。この先は部分的に道が使えるのだろう。南に開けたこの村は裕福な感じがする。新しい道路に沿ってニュータウンが出来、新築の家が沢山建っていた。
 チョルテンの隣のロッジで美味しいダルバートを頂いた。古いメンダンや桜並木が続く緩やかな登り道を正面に見える峠を目指して登って行く。石段を登り峠に出る。真中にメンダンが何列も並んでいる。ディオラリに着いた。
 
 
 11/27 ディオラリ-シブラヤ(1770m) :徒歩3時間
 特異な山容のガウリシャンカール(7134m)の頂上に朝日が当たった。石段の急坂を下って行く。こちら側にも自動車道が延びている。終点が近づいている。向かいの山は段々畑が広がっている。やがて眼下にキィティコーラが見えてくる。川際にシブラヤのバザールがある。食料品、雑貨、電気、宝石、ポリスボックス、トレッカーのチェックポスト・・
 明日はチャーターした車がここまで来る。ジリまで歩きたいという思いが残ったが、スケジュールの余裕がなかった。
ガイド、ポーターとビールで乾杯をした。が、最後に波乱が待っていた。車が悪路にスタックして立ち往生していると連絡が入った。車が来ない?
 
 11/28 シブラヤ-カトマンズ :自動車9時間
 ガイド、ポーターは5時半のジリ行きのバスで助けに行くことになった。我々はしばらくここに取り残されるのではないかと少し心配する。8時過ぎ車が着いた。
 ジリまでは悪路が続く。キィムティコーラの下流トセを廻りでジリに行く。ジリの街は思いのほか静かだった。
 後は車に揺られるままカトマンズに向かう。ホテルには6時半帰着。暗くなっていた。
 

エベレスト・クラッシックルートとピケピーク(4068m)
2011/11/18-11/28

ルクラに飛行場が出来る以前、エベレストに向かう登山隊はジリから歩いた。今、カトマンズからルクラに飛ぶ飛行機は段々畑や点々と並ぶ
民家やそれらを繋ぐ道路を真下に見ながらいくつかの峠をすれすれに越えて飛んでいく。特にラムジュン・ラとその南に見えるピケピークは気になる存在だ。歩いてみたいと思い続けていたルートを今回歩くことが出来た。
トレッカーは殆ど歩いていない。ロッジも食事もルクラから上とは格段の差があるが、今までとは違った素朴なトレッキングは初期のトレッキングを思わせるようなゆっくりとした時間を過ごすことが出来た。
 ピケピークは神々の座に囲まれた中に浮遊する感覚で時の経つのを忘れた。

 
ネパールトレッキング
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